12.04.2013

「作れること」と「それで仕事をすること」

デザイナーは、「これを作ってほしい!これをデザインしてほしい!」という要望に答える職業ですから、どちらかというと受動的な職業だと思います。でもいざ独立すると、今まで他の人に任せていた営業や、経理、広報、ぼくの場合は、それプラス、出荷や在庫管理など、すべてのことを自分で把握し、能動的に動かなければいけません。

デザイナーであると同時に経営者となれば、どのようなことが求められるのでしょうか。経営者は、常に会社のトップセールスマンでなければいけないし、会社の目標を設定し、その目標を達成するためにありとあらゆる策を考え出し、試み続ける情熱が必要のようです。

今は、ものづくりをする人が溢れ、誰でも簡単にモノを作り、簡単に発表できるようになってきたと思います。でも「作れること」と「それで仕事をすること」は、全く別の話だと思います。
素晴らしいものを作る人は、本当にたくさんいらっしゃると思います。でも、それから先の“ビジネスモデル(商売の仕組み)を作り出せるか”が本当の腕の見せ所。ある人は、お教室にしたり、ある人は、ネット販売に特化させたり。さらに広く流通させようとすれば、量産体制や品質管理、流通チャンネル、広報、出荷、在庫管理ができるかが勝負どころだと思います。

製品を市場に送り出すには、知的財産を守る、特許法実用新案法意匠法商標法不正競争防止法著作権法のほか、製造する上で大切な、PL法(製造物責任法)家庭用品品質表示法独占禁止法下請法など、「知らなかった」ではすまされない重要なこともたくさんあります。

ぼくは、ものづくりで起業できる人がもっとたくさん出てくれば、日本がもっと活性化して楽しくなると思います。ただ、ものづくりをビジネスにしていくに当たって、情報を共有したり、勉強したりする機会がまだまだ少ないと思います。なんで専門学校や大学で、「ものづくりをビジネスにするまで」を教えないんだろうと思ったりもしますが、先生自身、デザインの業務だけに特化し、自分でデザインしたモノを流通させることは範囲外、ということもあると思います。
でも、これからのデザイナーは、自分で作ったものを自分で発表し、流通させられるか、が重要になってくると思います。
ぼくは、まだまだ道半ばですが、将来は、「ものづくりをビジネスにしたい」という意欲溢れる人たちの事業を支援できるまでになれたらいいなと思っています。