4.30.2015

売場や展示会での接客方法

お店や展示会で、お客様にどのような接客をすればいいのでしょうか。

長年、売場でお仕事をされている方にはとても簡単なことかもしれませんが、仕事の大半をものづくりをしている作り手にとって、慣れない接客はとても難しいことです。

お客様に声をかけた方がいいのか、声をかけない方がよいのか、お客様から商品について聞かれたときにだけ答えればいいのか、特にすることがないときはどうすればいいのか、など。

動的待機
アパレル業界の接客で重要とされている接客方法の一つです。お客様がお店に入りやすいような雰囲気づくりをします。来店されるお客様を待ち構えてお客様を直視してしまうと、お客様はこちらの視線が気になり、とてもお店に入りづらくなってしまいます。
お店で特にすることがなくても、整理整頓や在庫の確認などをしながら、お客様が来店したらきちんと挨拶し、お客様を直視しない、とにかく動いて待機する、というものです。

3秒5秒ルール
お客様が、3秒、商品を見ていれば商品に興味がある、5秒、商品を見ていればかなりその商品に興味がある合図です。お客様は、商品について何も知らないことが大前提です。そこで商品やカタログでの商品説明、さらにサンプルを手に取って試してもらい、愛着を抱いてもらうことが重要です。でも話しかけられることを極度に嫌がる方もいらっしゃいます。お客様の中には、店員さんをチラ見もしなかったり、絶対店員さんの方に体を向けない方がいます。そういった方は、店員さんに絶対に話しかけられたくない人です。私もその一人です。そこで重要なのがPOPです。

POPの重要性
「POP」とは「Point of purchase advertising」の頭文字を取った略語です。直訳すると「買う時点の広告」です。POPは、お店でお客様自身が知りたい情報を能動的に得ることができるとても大切なツールです。
POPで伝える重要な順番としては

①使用イメージ「写真」②使い方を表した「イラスト」③商品を説明した「文章」です。

POPの文字は5ミリ以上が目安です。作り手は商品について長々と説明したくなりますが、商品に興味があるお客様でもその場に3秒しかいません。3秒とは、字幕テロップ1行分です。商品に本当に興味がある人は5秒いるので、字幕テロップ1行分プラス、補足説明文がよいと思います。そのことを意識し、文章を書くことが重要だと思います。

会社や作り手を知ってもらう
作り手のプロフィール写真や商品の掲載誌を展示することもとても大切だと思います。
プロフィール写真とプロフィールは、作り手が何者かを伝えるとても有効な手段です。もし、そのプロフィールを見た後に、お店や展示会で作り手の自分を発見してもらうことができれば、お客様の中に「あ!あの人なんか見たことある!知ってる!」という気持ちよさと安心感が生まれます。また、掲載誌は第三者からの評価や社会的に求められていることを伝えることができ、商品の箔や価値を感じてもらうことができます。何らかの受賞歴があればそれを伝えることもとても有効かと思います。

お客様の停滞率を高くする
お客様には、できるだけ長くお店や展示会ブースに留まって頂くことも大切なようです。お客様が長くその場所に留まることにより、お客様が充実感を覚え、満足度が高くなります。その場所に長く人が留まることにより、次のお客様も安心してお店や展示会ブースに入ることもできます。長くその場所に留まってもらう仕掛けとして重要なのが、お客様にサンプルを使ってもらったり、飲み物を出したり、お客様とお話をしたりすることです。

お客様に商品を説明する場合
お客様に商品を説明する場合は、まず自分自身が商品に愛があることを伝え、そのメーカーや会社に対しても愛があることを伝えます。それからお客様についての人となりを聞き出し、二言三言お客様に合った提案をします。お客様の要望と合致すれば購入して頂くことができます。

流れをまとめると
→商品愛を伝える →会社愛を伝える →お客様について聞き出し →二言三言提案 →お客様の要望と合致すれば購入

「商売なんだから、お客様に商品を買って頂くことが一番大切!」と思いがちですが、それは違うようです。商売とは、あくまでもお客様が欲しかったもの、お客様にとって必要なもの、最適なものをお客様にお買い上げ頂く。お客様に必要ではないものは売らない、そのことが重要だと思っています。

4.28.2015

テンションと心意気

大学からの友人がサイトで「パス・ザ・マイク」というリレー小説を書いています。
その一説をご紹介させて頂きます。


今は昔の大学時代。
ある友だちと話してて、何の話しからか「俺たちの強みって何だろう?」という話になった。多分、就職活動とか卒業制作とかが始まってて、やらなきゃいけないんだろうけどやりたくないし、何か大人になるみたいなのも気が向かないし、って感じでモヤモヤしていた時期だったように思う。
で、この質問。

「俺たちの強みって何だろう?」

俺は本当に、自分の強みを言うとか、就職活動でよくある自己アピールみたいなのが出来なくて、履歴書もろくに埋められずにいたりしていて、悩んでいた。でも、その友だちは、「テンションと心意気だよ。」と即答してきた。ちょっと冗談めかした応えかもしれないけど、聞いた瞬間にものすごくうれしかった。「テンションと心意気だけなら、僕たちは誰にも負けないよ。」と友だちは続けた。

「テンションと心意気」

最高じゃんか。テンションだけだったら、何かノリだけというか、悪ノリも含まれててあんまり良い印象じゃないけど、そこに心意気があることでものすごくポジティブなセットになってるし。俺の知る範囲では、「心意気」が悪い意味で使われている例を知らない。ただの泥棒だったのに、心意気があるとねずみ小僧になる。そんな感じ。

全然具体的じゃないし、履歴書にも書けなかったけど。実際のところ本気で悩んでいたわけでもないし、この会話自体もいつもの冗談混じりでやってたものだけど。
この言葉は今も俺の中でしっかりと生きている。言ってくれた友だちは覚えているのか知らないけど。そんなイかした友だちの会社の名付け親であることは、俺の小さな誇りの一つです。
その名もスガイワールド。ゴーゴー!

二〇一五/四/二十八
次朗



大学時代、大学の先生も制度も好きじゃなかったけど(学費が不当に高額、今の自分じゃ絶対に支払えない)、大学で出会った友だち全員が心から大好きでした。今も心から大好きです。
じろうくん、あの頃の気持ちは今も変わっていないけど、思い出させてくれて本当にありがとう!

4.25.2015

模倣品製造販売業者とどう戦うか

大きな展示会に出れば、自社の模倣品が世の中に出回るようになる危険性がとても高くなることは事実だと思います。
中国の模倣品製造販売業者は、展示会や出展社リストから常に模倣しやすそうなものを探し、模倣してお金儲けをしようと企んでいます。模倣品の70%以上が中国製です。

中国の模倣品製造販売業者にとって日本はデザインを盗むことができる最高の対象です。

日本は開国し、自由貿易をしている国です。その時点で世界基準で製造や流通を考えなければいけないのにも関わらず、島国のせいか、世界を視野に考える思考が乏しいのかもしれません。日本の液晶テレビもケータイも世界基準ではなく、日本基準の仕様と高価格で見事に負けてしまいました。

一番安く、しかも高品質で作れる場所で作る、ということはメーカーにとって重要なことだと思います。2015年4月24日に発売された最新式時計型端末アップルウォッチ(価格は4万2800円〜218万円)が世間を騒がせていますが、その最先端のアップルウォッチは中国の江蘇省常熟市の工業地帯で月給約6万8000円で働く中国人の方々が作っています。
参照:Apple Watch製造工場で見えた不安(日経ビジネス)
その中国で、アップルウォッチの模倣品が発売前から約4千円で売られています。
▷Apple Watch 早くも模造品が中国に登場

日本も昔は模倣品をたくさん作っていたので、人のことは言えないという方もいらっしゃいますが、それは違うと思います。どこが違うかというと、その頃の日本と比べても今の中国は教育を受ける機会が著しく乏しく、生活があまりにも苦しい人もたくさんいます。驚くべきことに2015年の現在も20万人もの人々が人身売買されています(参照:“行方不明児20万人”の衝撃 クローズアップ現代)。中国には危険な薬物の製造販売業者も多くいます。投資銀行の資金の持ち逃げも多発しています。当局の取締は全く行き届いていません。

中国人の方が「日本を見ていると中国の30年後の未来を見ているようだ。」と言っていました。1970年代の高度成長期に日本人が自分たちを一億総中流と呼び、誰もがよい暮らしをすることができるようになりましたし、誰もが義務教育を受けることができる社会になることができました。中国がそうなるには、30年先の2045年かもしれませんが、今の中国のやり方では、そうなることは難しいかもしれません。中国は過去の自国の犯した大きな罪を今だ隠し、人々の言論を強く取り締まっています。中国が民主化し、平等と感じるような社会になるには今のままでは情報統制や社会統制が強すぎます。

そんな中国の人たちの多くは知的財産権や盗用のことなど分かりません。たとえ分かっていてもそれを取り締まらない当局のせいにします。

中国の工場は、日本の弱小メーカーの製品のデザインを狙っています。中国で作れないものは、ほぼないと思います。日本の弱小メーカーは大企業に比べ資金面や流通面が弱く、中国の工場を取り締まることができないことを知っています。
自社で使えそうなデザインを見つければ、それをすぐに取り入れ、自社でも作ってみようとします。中国のほかの工場が、その模倣品が売れていると聞けば「ではうちもそれを作ろう」とどんどん偽物は広がっていきます。

弱小メーカーの、どの弱みが一番狙われるかというと価格面と流通面です。日本で作るために高コストになり、流通チャンネルの構築も脆弱です。
それとどう戦うかとすれば、

・日本製は中国製よりも品質が勝る
・日本人にしか作れないものがある
・日本だけで売れればよい
という考えを捨て、

・中国や途上国で圧倒的に安価で高品質に作る工場を探す
・中国の工場が横流しや転売しなくてよいぐらい大量に世界で売る
・アリババ、タオバオなどの中国のECサイトで世界中に売る
・中国で商標や知財権を取る
・製品写真に自社アドレスを入れる
などだと思います。

そうできなければ、自社の模倣品が世界中に溢れ(←弊社は今ここ)、それが日本に輸入されたとき、弱小メーカーはたちまち立ち行かなくなると思います。

では、なぜスガイワールドはできるだけ日本製にこだわるのか。それは、自分が信頼する日本人が作ったものを皆さんに安心して使ってほしいし、自分もそれを使いたいからです。

4.20.2015

人は論理ではなく、感情で買う

先日たまたま日経MJの人気コラム「招客招福の法則」を拝読しました。大変興味深い内容だったので、著者の小阪裕司さんという方に興味が沸き、その方の本を一通り読んでみました。小阪裕司さんの書籍一覧は▷こちら

小阪裕司さんは、商売について学術的に研究されていて、どの本もとても興味深い内容でした。小阪裕司さんのメッセージを自分なりに簡単にまとめると、

・人は論理ではなく、感情で買う。頭ではなく心を動かすことが購買につながる。
・売り手と買い手の温度差、情報の格差、を埋めることが重要。

というこの2点が商売の上で、大切なのではないかと受け取りました。

作り手は、どうしても自分がこだわった点や苦労した点、素人では到底分からない細部について固執し、独りよがりになってしまうところがあります。特に男性にその傾向が強いように感じます。例えば、この素材は特殊な新素材を使用している、この細かい成形はとても高度な技術を要するなど。でも買い手の主婦の方や若い方にはそのような部分には全く興味がありません。
それよりも単純な見た目の可愛さや、肌触りの良さ、利便性、信頼性など、感情を動かされるようなところが重要です。

また、商品を作った人は、作った商品について当たり前のように知っていることでも、店頭で初めて見る人には、何も商品の情報は伝っていません。その情報の格差を埋めたり、なぜ買わなければいけないのか、をきちんと伝える必要があるようです。

そのようなことを作り手が体系的に解決できるように、小阪裕司さんは「価値要素採掘マップ」というものの利用を提案しています。



この表を簡単にいうと

作り手の視点で考えられること
・論理的な商品の価値は何か(効果・効能のような、頭で理解できる価値は何か)
・感情に訴えかける商品の価値は何か(感動や癒しなど心が豊かになるような価値は何か)
・開発秘話(どのような想い、歴史、経緯、技術、素材、苦労話、希少性などがあるか)

をお客様の視点に置き換え
・解決される問題
・どのような満足を期待できるか
・買わなければいけない理由

をきちんと書き出し、それを作り手がきちんと伝える、ということだと思います。

その他にも「何それ!やってみたい!」という気持ちや「これって〇〇なんだって!」と人に教えたくなるポイントを、作り手がお客様にきちんと伝えることもとても大切なようです。

小阪裕司さんがおっしゃっている内容は、商品説明のみならず、プレスリリースにも大いに役立つと思います。

小阪裕司さんのホームページは▷こちら

4.10.2015

ヒット商品の4つのルール

商品をお客様に買って頂き、利益を出すことによって成り立つメーカーにとって、ヒット商品はなくてはならない存在です。メーカーには必ずと言っていいほど、会社の売上げに比例し、ヒット商品があります。

そこで、どのような商品がヒット商品になる可能性があるのかを考察してみました。色々調べてみると

1)手の中に収まるサイズ
2)売価は¥200〜¥3,000程度
3)命が宿るもの、宿っているように見えるもの(動く、育てられる、アレンジできる)
4)可愛い(小さい、愛くるしい、愛おしい)

という4つのルールがあるのではないかという結果に至りました。

以上の4つのルールにのっとった18世紀から現代までの歴史的ヒット商品事例をご紹介したいと思います。自分が知り得る範囲で独断と偏見で抜き出してみました。

こけし(1800年代、東北地方の温泉地において湯治客に土産物として売られるようになった木製の人形玩具)
マトリョーシカ(1890年代ロシア人修道士が、本国への土産に持ち帰った箱根細工の入れ子を参考にし作った木製人形)
セキセイインコ(1840年イギリスに紹介され、日本では1965年頃広く広まった鳥)
テディベア(1903年ごろドイツのシュタイフ社が大量にアメリカに輸出したクマのぬいぐるみ)
笑い袋(1969年にアメリカでレコードプレーヤーを袋に入れて売り出した玩具)
リカちゃん(1967年にタカラが企画・開発した着せ替え人形玩具)
ポッピンアイ(1980年代頃に一時期流行した、裏返して机などの上に置き、ゴムの弾力によって、元の形に戻った際の反動で高く飛び跳ねさせて遊ぶ玩具)
トランスフォーマー(タカラトミー(旧株式会社タカラ)より1985年以降に発売された変形ロボット玩具)
フラワーロック(1988年タカラトミーが発売した、音に反応して本体が踊るように動く擬人化した花の形をした玩具)
ファービー(1998年にアメリカのTiger Electronics社が発売したペットロボット玩具)
たまごっち(1996年にバンダイから発売された、キャラを育てることができるキーチェーンゲーム)
ハムスター(実験動物用としてドイツに広まり、2000年に開始した日本のアニメ「とっとこハム太郎」で人気が出たネズミ)
アニマルラバーバンド(2002年にアッシュコンセプトが発売した、動物の形をした輪ゴム)
カップメン(2009年にアッシュコンセプトが発売した、カップラーメンにお湯を注いだ後にフタを抑える人型の玩具)
コップのフチ子(2012年奇譚クラブから発売されたOL風の女性「フチ子」が腰をかけたりぶら下がる姿勢をとるフィギュア)
※Wikipedia参照

玩具に偏りがありますが、以上の事例を参考にし、4つのルールに乗っ取り、次回のスガイワールドの商品を開発してみたいと思います。
果たしてヒット商品を世に送り出すことができるでしょうか。

この考察でできたのが「クリップファミリー」です。

4.05.2015

商品の輸出、貿易について

商品をホームページに公開していると、海外から「商品が買えないか」という要望が寄せられることがあると思います。そこでなんとか海外から日本の銀行に送金してもらい、商品を輸出することが増えてくることもあるかと思います。海外からの問合せ件数も増えてきたので、「本格的に輸出事業に乗り出そう!」としてもどうしたらいいのか分からない、ということもあるかと思います。

日本には日本貿易振興機構(ジェトロ)中小企業基盤整備機構という商品の輸出、貿易を支援してくれるところがあります。
東京都にも、東京都中小企業振興公社国際化支援室というところがあります。
国や都の公的な事業なので、各社無料で貿易の支援をしてもらうことができます。

でも相談する前に、商品の輸出、貿易を成功させるためにも、まずは簡単に海外進出の計画を書いてみることがおすすめです。

海外進出計画の項目としては
海外進出の目的・目標、自社の強み・弱み、市場環境、想定される競合、ビジネスモデル(何をどのように進めるか)、スケジュール、自社の経営資源(人・モノ・資金)などを書き出します。(東京商工会議所発行:海外ビジネスワークブックP106参照)

海外進出計画を整理したら、例えば東京に拠点がある方の場合は、ジェトロへの相談をメインにし、その後、公社の国際化支援室をサブ的に利用することがおすすめです。

相談すると、海外でどのような展示会があるかや、どのような助成金があるのか、またどのような法律があるか、などを知ることができます。

その後、実際に海外の展示会に視察に行き、イメージをつかむことがよいと思います。また、海外は日本と違う法律があるため、その点を十分に気を付けることが大切だと思います。(例えば、知的財産の法律、安全基準の法律など。)

いざ海外の展示会に出ようとしても海外の展示会場の場所代が50万円、施工代が20〜30万円、渡航費がさらに20〜30万円と高額な投資になります。ジェトロには展示会の費用の1/2を助成してくれるサービスもあります。また、メゾンエオブジェミラノサローネなど、大きな展示会に出なくても、会期に合わせ小規模で展示会をしている会場もあります。

展示会で注文があれば見事受注成立となります。でも荷物の大きさによって輸送手段を上手く利用しないと送料が高額になり、問題になることがあります。輸出契約書をきちんと用意しておくことも重要です。そのような詳しい内容は、ジェトロや公社の国際化支援室などが行っているセミナーなどを一度受けることがオススメです。

商品の輸出、貿易についての大まかな流れ
①目標設定→ ②相談→ ③準備・情報収集→ ④計画立案・実行 →⑤海外事業展開

リンク:
日本貿易振興機構(ジェトロ)
中小企業基盤整備機構
東京都中小企業振興公社国際化支援室