2.14.2016

佐藤雅彦さんの講義「映像で理解できること」

2016年2月6日に東京藝術大学院、横浜キャンパスにて行われた佐藤雅彦さんの講義「映像で理解できること」を受講してきました。本当に勉強になりました。

今まで佐藤雅彦さんが取り組んできた作品の紹介からスタートしました。

どうすれば、あることが伝わるのか
どうすれば、あることが分かるのか

作品の紹介
ISSEY MIYAKE A-POC 認知科学
ビーだまのビーすけの大冒険 物語性
・現れる数理 数学の実証
I.Q トーンのある世界
経済ってそういうことだったのか会議(帯に“日本経済新聞社 ¥1500”と入れることを考えたのは佐藤雅彦さんだそうです。)
DNP Idea Factory

作り方を作る
作り方が新しければ、自ずとできたものは新しい。
「私は何かを表現するときにいきなり表現から入るのではなく、まず「作り方」から考え出します。」
「50歳、60歳になっても何になりたいかなんて分からない。やりたいことを思いっきりやることです。ポリンキーやI.Qをやれたときも死んでもいいと思った。あまり考えすぎない。とにかくやってみることです。」

作り方を作る 4つの手法
・rule
・tone
・考え方から生む表現 ※今回の講義
・メディアから考える

考え方から生む表現
・認知科学 群化(grouping)人は見えないものを補完する能力がある
・機械工学 歯車、カム曲線、ゼネバ機構、リンク
・計算機科学 コンピュータサイエンス 例えばアルゴリズム、レイヤー
・生物学
・数学
・可視化・実験デザイン しいたけの成長

験(ため)す
頭と体を使ってとことん験す

認知科学の実験で、体にいくつの点を付けて動けば、見え方が変わってくるかや、アルゴリズムを人の動きに返還し、どのような動きが効果的に見えるかなど、大学で実験している記録映像の紹介がありました。

「実験のexperimentは、ラテン語のexperiri 「ためす、しらべる」から生まれました。専門家のexpertとは、験しの数が多い人。毎日験している人のことを専門家expertといいます。」
「例えばISSEY MIYAKE A-POC、パリコレってかっこいいな、なんて思うかもしれない。でもすぐにカッコイイものなんて作れるはずがない。何度も何度も験し、こうしたらどうか、ああしたらどうかと、色々やってみて、やっとできるんです。」

「昨日、何かを験しましたか?ぼくは毎日験している。
自分の好きなものをとことん験す。
好きなものは行動しなければ見つからない。」


ぼくは、佐藤雅彦さんにお会いするまで、とてもスマートで、論理的に無駄なくキッチリものづくりをしていく方なのではないかと思っていました。
でも実際お会いしてみると、とてもチャーミングで、熱く、色々と手を動かし、何度も験し、失敗にくじけず、ひたむきに取り組んでいる方なのだと感じました。

完成する作品はとてもクールで多くの人を魅了しますが、その影には、地道な数多くの実験の上に成り立っているということを学んだ講義でした。

頭と体を使ってとことん験す大切さは、事業や商品・サービスの作り方にも通ずると思います。思い立ったら頭と体を使ってとことん験すしかありません。頭と体を使って験した数が、その人の力になるのだと思います。

ラテン語のexperiri は「ためす、しらべる」という意味。専門家expertとは、験しの数が多い人。毎日験している人のことを専門家expertと言う。