11.04.2015

デザインとは知らない人の手に渡るまでの筋道を立て、ゴールまでを手助けすること

デザインは意匠や機能と言われていますが、ぼくは、デザインとは“知らない人の手に渡るまでの筋道を立て、ゴールまでを手助けすること”だと思います。

デザインとは“ほぼ何もないところ”から“知らない人の手に渡るまで”の筋道を一本通すこと。
デザイナーとは“ゴールまで手助けする人”だと考えています。

高知に、ぼくが日本一のデザイナーの1人だと思っている梅原さんという方がいらっしゃいます。
梅原さんが友人に頼まれて作った“栗”一つからスタートする事業計画書があります。
しまんと新一次産業の取組」のリンク
“栗”一つからここまで構想が描けるとは本当に感動です。
この事業計画書の作成からはじまり、高知の地場産の商品のパッケージデザインをしています。
梅原真さんのデザイン商品」のリンク
中身の魅力をふつふつとわき上がらせる本当に素晴らしいデザインです。

ぼくは、グラフィックデザインが本当に苦手です。そう言うと、「美大卒なのに?」「もうやってるじゃん」「うそー?!」と言われますが本当です。確かに美大には行きましたが、グラフィックデザインを習ったことは一度もないような気がします。大学では、音と視覚的表現を結びつけたり、デジタル技術とアートの組み合わせを考えたりとなかなか難解な授業が多かったです。

そんなグラフィックデザインを何も知らないぼくが、モノをデザインする上で気を付けていることがあります。

1)目的に対して機能すること
2)誰のためかはっきりさせること
3)情報の配置に疎密があること
4)情報が少なすぎず多すぎないこと
5)細部まで心遣いが行き届いていること
6)品があり、すっきりしていること
7)思いやりがあること、分かりやすいこと
8)広く受け入れられる偏りのない表現であること
です。

手順を整理すると、
①目的を決める(誰のために、何のために、どこで、どのように使われるかなど)
②必要な情報や要素を書き出す
③情報や要素を分類分けし整理する
④情報や要素に優先順位を付ける
⑤情報や要素に強弱を付ける
⑥情報や要素を削ぎ落す という具合です。

商品で言いたいことはたくさんあるので、気を付けないとすぐにぐちゃぐちゃごちゃごちゃのデザインになります。点や曲線一つにおいても表現が研ぎすまされていないと、完成度の低い偏った表現になってしまいます。上に書いた点に注意しながらデザインしていけば、ある程度は整理されたものが出来上がると思います。

商品のデザインは、その人の価値観をどうしても反映してしまいます。
ぼくは、商品のデザインを見れば、何歳くらいの人が作っているかだいたい分かる気がします。
今の車のデザインの可否を出しているのは50〜60歳だと思いますし、一般に流通している商品のデザインの可否を出しているのは45〜55歳くらいだと思います。
今の車のデザインは昔夢見た未来の形を作っているように見えますし、商品パッケージはバブル期の売上げ至上主義で計算高いイヤラしさから抜け出せていないように見えます。

10代から20代の人が作っているものも見ると分かります。表現の幅が狭いように感じたり、完成度に対して甘さを感じるときがあります。しかし驚くほど純粋無垢でけがれていない強さを感じるときがあります。

デザインは表現なので、その人の価値観やその人の生き様、その人が生きている世界や時代の価値観を強く反映します。デザインを決める人の価値観が時代遅れだったり、偏った価値観だと多くの人から共感してもらうのは難しいと思います。

独りよがりのデザインから抜け出すには、とにかくたくさん作ってみて多くの人の意見を素直に聞いてみたり、よいものをたくさん見て素養を身につけ、自分の表現を客観的に捉えることができる能力を身につけるしかないと思っています。

これからの時代、デザインがよくなければ、絶対に生き残ることはできないと思っています。

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