7.20.2015

ブランディングについて「ビジョン、らしさ、そもそも」

スガイワールドの事業は、自社がよいと思うものを純粋に商品化しています。
メーカーであり、企画やデザイン、資材調達、PRなど商品を取り巻く一切の業務を自社で行っているので、時々企業の方から相談を頂きます。

最近、上手くいっている企業には3つのルールがあるように感じてきました。
その3つのルールとは「ビジョン、らしさ、そもそも」です。

「ビジョン」とは、人を惹き付けるワクワクする未来を描くことです。ビジョンを打ち出すことができない企業はやはり弱いです。今まで下請けをメインに行ってきた中小企業やデザイン会社などは、この部分がとても弱いような気がします。今までは、大企業の仕事を受注できれば、自分たちでビジョンを描く必要はさほどありませんでした。しかし、これからの時代は、自分たち自身で明確なビジョンを描くことができなければ、たちまち路頭に迷います。上手くいっている企業は、ホームページなどに自社がどのようなワクワクする未来予想図を描いているのか、明確に語っています。個人においても、ビジョンを描くことは、これからの時代を生き残っていく上でとても大切なことだと思います。

「らしさ」とは、その企業が他社からどのように見えているのか、どのようなイメージをもたれているかという個性です。今まで下請けやOEMのみ行ってきた企業はこの部分がとても見えづらく弱いような気がします。「らしさ」とは、自社から発信するものではなく、あくまでも他社からどう見えるかというものです。「らしさ」は「ブランディング」という言葉にも言い換えられます。
戦国武将は、兜に自分のビジョンを表したマークをあしらい、旗にも家紋やビジョンを示し、自国らしさを明確に示しました。活躍した戦国の勇は「らしさ」を打ち出すことが得意でした。
他社からどのように見られるかをコントロールできなかったり、「らしさ」を他社から抱かれていなければ、自社はその他大勢に埋まっているということです。このことを全く分かっていない、理解できていない企業の方もとても多いような気がします。
「らしさ」は、企業理念や取り組み、会社名、社員、社風、会社のロゴ、会社案内、ホームページ、封筒、展示会など、他社から見えるすべての接点から感じさせることができます。
成功している会社は、他社や消費者からどのように見られているかという「らしさ」のコントロールがとても上手くできています。

最後の「そもそも」です。「自社にこのような技術があってこの技術を活かしたい」という中小企業の方はとてもたくさんいます。でもその技術は、大企業向けのとてもニッチな技術であることが多々あります。それをいきなり一般消費者向けになんとか使えないかとするのは、かなり無理があります。当たり前の話ですが、市場は需要と供給によって成り立っています。そこに需要がなければ無用の長物です。市場の需要、ニーズがつかめない、理解できていない中小企業の方がとても多いように感じます。今まで何十年も大企業向けのみの需要に応えてきた技術や思考を、いきなり一般消費者向けへと頭を切り替えなければいけないので、なかなか簡単なことではありません。その感覚をつかむことができず、なんともヘンテコな商品ができてしまっていることが多々あります。「そもそも」それって必要?「そもそも」それほしい?「そもそも」作る必要がある?という根本的な問いに答えることができなければいけません。
成功している会社は、「そもそも」の需要、ニーズを確実に捉えています。それは時代の潮流をつかむ能力です。自社にその能力が弱ければ、最初は誰かに頼ってもよいと思います。ただ成功している企業は、この需要やニーズを経営者自身がしっかりとつかめていることが多いです。経営者自身が、市場のニーズをつかむことができていなければ、社内でいくらよい企画が出ても経営者はゴーを出しません。
しかし、経営者も年を取ってしまうと時代の潮流をつかむことが難しくなってきます。
キングジムの宮本社長は、企画会議で出た案に誰か一人でも賛同者がいれば商品化するという取り組みをされています。年を取ることにより時代の潮流をつかめなくなる弱みを補う素晴らしい取り組みだと思います。

「ビジョン、らしさ、そもそも」この3つをしっかりと捉えることが、これからの時代を生き抜いていくために大切なことだと考えています。