5.10.2014

コピー商品が出てしまったら

2014年、スガイワールドの商品のコピー商品が出てしまいました。「模倣なくして創造なし」とはよく聞きますが、今回登場したのは、真似たのではなく、完全なるデッドコピー(既存の製品を権利者の許可を得ず複製した模造品)です。

少しでも皆さんがこのようなトラブルに巻き込まれたりしないよう、情報共有のためにこちらに記録を残しておきたいと思います。ちなみに詳細はこちら↓

カタログのPDFデータにロックをかけず、イラストのデータが流出してしまったことが原因でした。
模倣と聞くと個人的には、「真似、似せる」というイメージがあるので、ぼくはここであえて、今回出たものは、そのままのデータを悪用したデッドコピーと言いたいと思います。
デッドコピーが出てしまったらどうしたらいいのでしょうか。今回のデッドコピーの裏面には「Made in Korea」とだけ書いてありました。なので「デッドコピーは韓国製?」と思ったのですが、どうも調べてみると中国製のようなのです。中国の模倣品を製造する会社によっては、中国製にも関わらず「Made in Japan」と書くところもあるそうです、汗。デッドコピーをさかのぼって調べてみると中国の浙江省のYiwu International Trade Martがコピー品の出どころのようでした。ここは、コピー品で溢れているマーケットだそうです。

模倣品が出てしまったら
1)模倣品の販売場所、価格、物品証拠の入手
2)販売店への警告および、販売停止依頼
3)調査会社へ模倣品製造元の調査の依頼
4)模倣品製造業者より、模倣品製造証拠の入手
5)調査会社に行政機関による取り調べを委任
6)管理局での摘発、取締
7)再発防止のため繰り返し調査、摘発
が簡単な流れのようです。JETROのサイトにも手順について詳しく紹介されています。↓
模倣品・海賊版の被害に遭ったときの対応と救済手続

また、事前の模倣品予防策として
1)模倣品頻出国(中国、韓国など)や販売予定国(EU、USA、日本など)で商標、意匠、特許権を取る
2)製品の表面にロゴやコピーライトを明記する
3)カタログ、製品等に製造年月日を入れる(証明のため)
4)写真やカタログ、製品の情報が盗用されないようにデータ管理を徹底する
などです。

ちなみに中国には、著作権登録制度というものがあって数千円で申請できるそうです。ただ、自分で中国語で申請するのは難しいので、中国の弁理士さんなどに代理人として申請をお願いする必要があり、その費用が5〜10万円だそうです。

問題が起きてしまったら相談に応じてくれる団体はたくさんあります。もちろん問題が起こる前に相談することもできます。事例によっては相談するところが変わってくるので、自分で調べながら、相談していく必要があります。

模倣品相談窓口
JETRO知財課(主に貿易や海外の権利関係について)
アジア太平洋工業所有権センター(主にアジアにおける貿易や権利関係について)
IP FORWARD法律事務所(中国における調査や申請、訴訟の相談)
東京都知的財産総合センター(主に国内の権利関係について)
知財総合窓口(商標、意匠、特許、実用新案などの知的財産権全般に対する相談)
そのほか経済産業省が紹介する相談窓口リスト

まずは、各行政機関に相談するのがオススメです。
今回身にしみて感じたのは、当たり前かもしれませんが、一番がんばらなければいけないのは、デッドコピーを出されてしまったメーカーだということです。メーカーがあきらめてしまったら、デッドコピー製造業者の思うつぼです。今回発見できた偽物を売っている卸会社は6社でしたが、その会社に連絡をしたところ、デッドコピーの販売を中止してもらうことができました。でもまたデッドコピーが出てこないように常に注意している必要があります。

デッドコピーのいけないところは、既存の製品を権利者の許可を得ず複製したことです。権利者に対して、ロイヤリティー(製品の複製権の利用料)を払うことなく不当に利益を得ています。

みなさんも国内で商品を販売するときはもちろん、海外で販売したい国があったら、その国で商標、意匠等の権利を取得することをオススメします。
日本はマドリッド協定議定書によって特許庁で一括で国際商標を取ることもできます。↓
マドリッド協定議定書(通称:マドプロ)による国際出願等(商標の国際出願に関して)
特許は特許協力条約(PCT)。今後、国際意匠も取れるようになるそうです。

※ちなみに余談ですが、1930〜60年代、日本も欧米の模倣品を作っていた歴史があるそうです。そのため輸出品デザイン法という法律が制定され、認定機関の認定を受けなければ輸出できなかったものもあったそうです。その制度が廃止されたのがつい最近の1997年。「中国はなぜ模倣するのか」という素朴な疑問がありますが、「日本も戦後、欧米のものを模倣してきた歴史があるように、中国もまたそのような歴史をたどっているのでは」とアジア太平洋工業所有権センターの方がおっしゃっていました。ただ日本は、模倣ではなく改良模倣がとても優れていたそうです。車にしかり、家電にしかり、もともとは欧米の技術や製品だったものの品質や性能をよりよくすることによって改良特許を取得し、発展してきた歴史があるそうです。大きな会社になると市場シェアを得ることができなければ生き残れないため、利権争いは必死で、常に特許紛争をしているようです。そもそもぼくは、平和で楽しく夢溢れる よりよい社会になるための一助になりたくてスガイワールドをやっているので、誰とも争う気はさらさらないのですが、この活動を続けていくためには、日頃からきちんと自分の権利を守り、管理していくことも大切ですね。

参考資料
ニセモノ対策パンフレット(PDF)
海外模倣対策ハンドブック(PDF)

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