なぜスガイワールドを立ち上げたのか。ときどき聞かれるのですが、上手く話せないので、ここにまとめておこうと思います。
学生の頃から自分で事業を立ち上げようとは全く思っていませんでした。大学を卒業した後、映像なら頭で想像することが色々と表現できるのではないかと思い、1年半池袋のジュンク堂書店でアルバイトをしながら映像制作会社へ就職活動をしました。しかし、書類選考で100社以上不採用、50社以上面接不採用の惨敗です。ちょっとウツでした。そんな精神状態でも何とか生きていたのは、山形生まれ山形育ちで健康に育ったからだと思っています。
1年半かかってやっと入社できた映像制作会社はとても大変でした。入社したその日に、撮影スタッフとして現場に入り、その日から家に帰れない日々が始まりました。
数年続けましたが、忙しいため睡眠を取らないで車の運転をし、冗談ではなく、本気で死にそうになったので、辞めました。
どうしようかなと思っていた頃、友人のお父さんが営むデザイン会社にお誘い頂き、有難く再就職することができました。
就職活動では何十社と不採用になり、やっと就職した映像制作会社では死にそうになったりと、何をやってもうまくいかず、人気も需要もない自分を快く受け入れてくれた会社のためならできる限りのことをしようと思いました。
そこで展示会で飛び込み営業を何千社としました。有難く仕事をたくさん頂くことができました。でもさすがにちょっと疲れてしまいました。
気分転換に、ビジネスとはかけ離れた変な企画を趣味で書き留めはじめました。その変な企画を、会う人みんなに見てもらったところ意外に評判がよく、「商品にしてみたら?、やってみたら?」と言って頂くようになりました。でも自分で“商品”というものをまったく作ったことがなかったので、メーカーならその企画が実現できるのではないかと考えました。それが2011年、31歳の頃です。
とあるメーカーで3年、商品の作り方、流通について、会計についてなど学びました。3年間色んな企画を考えては提案しましたが、1つも採用されませんでした、笑。
そこで、企画の中で人気だった「ひげ付箋」を自分で商品化しようと考えました。会社から特別に許可を頂き、働きながら「ひげ付箋」だけを売り続けました。すぐに独立しなかったのは、独立したからといってすぐに商品がお店に取り扱って頂けるわけではありませんし、「ひげ付箋」の売上げだけではとても生活はできなかったからです。
夜7時すぎに家に帰ってご飯を食べて、夜9時から12時すぎまで必死にスガイワールドの事業に取り組みました。もし必死に努力することができなければ、独立したとしても上手くはいかないと、どの独立開業の本にも書いていたので、それを真に受けてがんばりました。
「ひげ付箋」の製造の初期投資は50万かかりました。大金です。かなり勝負に出ました。売れなければ大事な大事な貯金の50万円をドブに捨てるようなものです。納品された4,000個の「ひげ付箋」のダンボールの山を妻と二人で眺め「これを売り切るのに何年かかるだろうね…。」と青ざめたのを今でも思い出します。でも、ある方のご紹介で東急ハンズさんのほぼ全店に「ひげ付箋」を採用頂き、1年もかからず、約半年で最初の生産分を売り切ることができました。
今までたくさんの会社に不採用されてきた自分にとって、自分の商品をお店に採用して頂けることは本当に自信になりました。自分自身がそのお店に採用して頂いたように感じました。
3年間在籍したメーカーではとても可愛がって頂きましたし、できるだけ働きたいと考えていました。
そんな中、東日本大震災がおきました。3月11日、ぼくは、取引先の工場にいました。その取引先の工場はちょっとでも揺れれば崩れてしまうような手作りの掘建て小屋でした。地震が起きた瞬間、工場長から「早く工場から出て!」と言われ、地震がおさまるまで外にいました。なかなか電話がかからず、会社に報告もできませんでした。唯一会社で心配してくれた上司が電話をかけてきてくれました。後日知ったのですが、会社の経営者は社員を会社に残し、一足先に自宅に帰ったそうです。そのエピソードを聞き、会社を辞めようと思いました。
そして2013年独立しました。今活躍している若い起業家の方々は、学生時代から着々と起業の準備をはじめ、やっとの思いで成功しています。ぼくは、事業の芽が出るまでは事業をはじめてから10年はかかると思っています。尊敬するリブセンスの社長の村上さんは2006年に起業し、2007年に月商1,000万になり、2011年に上場を果たした素晴らしい方です。起業の準備は2004年の高校生の頃から考えていたそうです。きっとその前から色々と社長になるために勉強し、努力していたのだと思います。
ぼくが起業を考え始めたのは2011年頃ですので、村上さんとは7年の差があります。村上さんのように社会のためになることをしたいと考えています。村上さんの会社のように大きく立派な会社にはならなくても、いざやるからには、できるだけ多くの人のためになることをしたいと考えています。
2011年から始めたスガイワールドの活動が、10年後の2021年にどのようになっているか、ぜひ楽しみにして頂ければ幸いです。
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