7.05.2015

なぜ値引きをしないのか

なぜ値引きをしないのか、間接的に聞かれるときがあります。
一言で言えば、「値引きをしても、よいことはないから。」です。

値引きを要求してくる会社は往々にして、商品を使い捨てにします。そのシーズンで仕入れた商品は、そのシーズンで全部売ってしまおうとします。ちょっとでも仕入れた商品が売れ残れば、50%引きなどのワゴンセールにして全部売り払ってしまいます。それでは今まで弊社の商品を大切に取り扱って頂いてきたお取引先様に申し訳ありません。

今まで弊社は有難いことに、とてもよい取引先様との出会いに恵まれてきました。2011年から変わらず商品を大切に売って頂いているお取引先様が少なからずいらっしゃいます。そのようなお取引先様は、決して「商品を沢山買うんだから、もっと値引いてくれ。」と言ってはきません。こちらから何らかのお礼をしたいほどです。でもそのお礼は金銭的なものではなく、新しいPOPを送ったり、商品の掲載事例を送ったり、直接お店に伺ってお話を聞いたり、少しでもお店の役に立てるようなことはないかと考え、行っています。

展示会に出ると、たまに大口の取引のお話を頂くことがあります。そんなときに限って値引きの話がやってきて、困ることがあります。

二宮尊徳さんはこんなことを言っていたそうです。
「遠きをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」
つまり、目先のことにとらわれれば、貧しくなり、物事を長い目で見ることができれば、富むことができる、ということです。本当にその通りだと思います。

スタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルさんが行った有名な実験で「マシュマロ・テスト」というものがあるそうです。マシュマロを今すぐ1個もらうか、それとも少し我慢して、あとで2個もらうかの実験だそうです。我慢できた子は、大人になったときに高い収入を得ていることが分かったそうです。(自分が子どもの頃、マシュマロを我慢できたかは全く自信がありませんが…)

目先の売上げに目がくらむこともありますが、それは、長い目で見れば、徳にならないことかもしれません。今の会社の規模には見合わない毒にもなりえます。

また、小方功さんの本にこんなことが書かれていました。
「お金を増やすのではなく、信頼してくれる人を増やす」
このことも今の自分にとってはとても重要だと思いました。目先の売上げだけにとらわれることなく、長い視野で、信頼してくれる人、信頼できる人との関係を大切にする。
売上げは上がったり、下がったりしますが、信頼してくれる人の数は、真面目に努力し続けるかぎり、確実に増え続けるものだそうです。

本当はもっと大きな売上げを上げて大きな利益を出し、人を呼んでも恥ずかしくない場所を借りたいですが、今は見栄を張らず、一歩一歩まじめに実直にやっていくことが大切だと考えています。